人気ブログランキング | 話題のタグを見る


『地下水道』(1956)

アンジェイ・ワイダ監督の『地下水道』をビデオで観る。
冥界のような圧倒的なまでの暗さ。この暗さは映画館でそこ観るにふさわしい。
はじめにピアノを弾く芸術家Vladek Sheybalが出てくるが、これが、ロマン・ポランスキーの『戦場のピアニスト』にそっくり。ポランスキーがおなじワルシャワ蜂起を舞台に生き抜いたピアニストを、この『地下水道』の芸術家をモデルにして、俳優エイドリアン・ブロディを髪型までそっくりにして使ったにちがいない。
『地下水道』(1956)_c0035599_2351124.jpg

『地下水道』(1956)_c0035599_2353393.jpg

前半の地上戦のシーンでリモコンのミニ戦車が出てくる。 ゴリアテ (Goliath) という、第二次世界大戦でドイツ軍の使用した、遠隔操作される軽爆薬運搬車輌、とのこと(wikipediea)。ほんとうにこんなものがあったということに驚いた。
『地下水道』(1956)_c0035599_2355062.jpg

主人公とそれを助ける女がようやく川に面した出口にたどり着くとそこは鉄格子ははまっていて出られない。スチール写真では絶望した二人という図になっているが、映画では男は眼がよくみえなくなっており、鉄格子に気づかない。女は目を閉じて休めとやさしく言う。女性のもつ限りない優しさにむしろ心打たれる話になっている。ワイダ映画の女性はほんとうにいい。
『地下水道』(1956)_c0035599_2365192.jpg

ようやく地上に出た中隊長が誰も後から続いてきていないことを知ると、再び地下水道へと潜っていき、画面は本当にだた闇となる、エンディングは胸を突かれる。
すごい映画があったものだ。
by takumi1956 | 2009-11-05 23:11 | 映画
<< 『ゆれる』(2007) 映画『草原の輝き』(1961) >>




鴨川左岸にて
by takumi1956
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧